2016年1月20日水曜日

マット・スミス作  Automata "The Scarab Wrappe"

 
ペーパークラフトとしてポール・スプーナー氏が制作したものを、マット・スミス氏が再設計し 1998年

"The Scarab Wrappe"(スカラベの包装)  
©Paul Spooner & Matt Smith
 
と題し製作されたアヌビス【Anubis】シリーズの一点です。
  (シリーズといってよいか解りませんがアヌビスをモチーフに多くの作品を制作しています。)

このオートマタは、古代エジプトの壁画に登場するミイラ作りの神アヌビスが両手でピラミッドを持ち上げ、持ち上げる度、再生復活の聖なる甲虫スカラベ(糞コロガシ)をミイラに仕上げます。


古代エジプトにおいてスカラベが転がす球は、東から昇り西へ沈む太陽を表し、また、その中に卵を産み付けやがて新たな命が誕生する再生復活の象徴でもあります。

そういった事から、このオートマタはいのちの再生復活を願う古代エジプトの宗教を象ったものかもしれません。

しかし、
終ることのない永遠のいのち
を得る事が出来たならそれからの人生は「明日でいいか、今度でいいか」「ああなったらいい、こうなったらいい」・・・と、ただダラダラと空しく過ぎるいのちを生きていくように思えます。

限りあるいのちを頂く我々に、空しく過ぎることの無い「ここに居ることの意味」「今を生きるとは」と、自己の歩みや、いまの生き方そのものを問うているように見えます。

三蔵流支授浄教
焚焼仙経帰楽邦 
                          『正信念仏偈』